住宅の一部に設けた水屋の例です。一般住宅の場合、本格的な茶室まで設けるのはなかなか出来ません。そこで和室に炉をきって茶事が出来るようにとするのですが、その場合でも出来る限り、機能よりもその雰囲気に浸れるようにと意識します。明かりの取り方や空間のバランス、材料などで少しでもそれが出せたらと思います。私は子どもの頃に母に教わったお茶の作法を、いいかげんにしか聞いていません(特に正座が苦手で)でした。後にその奥深さを知り、京都などにせっせと行ってみても、やはりなんでも若い感性のうちに出来るだけ経験すべきと、後悔先に立たずです。

■撮影:堀内広治

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